ITの根幹『組み込み』を考察

機能性と操作性のバランスを調整する役割

多機能な製品に対して魅力を感じてくれるユーザーが多いことから、企業における新製品開発の方向性として機能を増やすという考え方を持つことは多い。多機能化によって他の類似製品ではできないことも実現可能になるのは魅力的なのは確かだが、それがユーザーにとってデメリットになってしまわないように注意しなければならないだろう。
組み込み系のエンジニアはその視点からうまく調整を行うのが重要な役割になる。機能が多すぎると操作性が悪くなってしまう場合は少なくない。ユーザーとしては多機能だから便利と考えて購入してみたものの、実際にはいくつもの機能を使いこなせていないこともよくある。その機能があるために余計な操作が増えてしまって使用上では不便になってしまっている場合もあるだろう。
ユーザー視点で考えると多機能化がデメリットになってしまう場合があるのは、操作性が低下してしまうからである。機能性と操作性を同時に実現するのは至難の業であり、場合によってはどちらかを犠牲にしなければならない。
可能な限り機能性と操作性の両立を目指した上で、両者を同時に求められないときにはどちらかを選択してバランスを取るのが組み込み系エンジニアの役割である。ユーザー視点で開発を行うことが欠かせないのが製品開発であり、その際に具体的に個々の機能にメリットがあって使ってくれる可能性が高く、操作性に支障を与えたとしても導入する価値があるかどうかを判断する役割も担っている。